海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター(同隊提供)

 伊豆諸島の鳥島東方海域で昨年4月、海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が訓練中に衝突して墜落、計8人が死亡した事故で、海自は12日、水深約5500メートルの海底に沈んでいた2機の主要部を引き揚げたと明らかにした。破損した機内などから複数人の遺体も見つかり、身元の確認を進める。

 海自と契約を結んだ米軍が海洋作業船を現場海域に派遣していた。海自によると、2機は同じ海域に沈没。作業船から遠隔操作型無人潜水機(ROV)を投入して機体にワイヤを引っかけ、11日夜に1機、12日朝にもう1機を引き揚げた。

 作業船は海底に散らばった部品などの回収作業を進めた後、横浜市内の米軍施設に向かう予定。海自が引き渡しを受け、機体を詳しく調べる。

 事故は昨年4月20日夜に発生。海自は同7月、見張りが不十分で、互いの距離を誤認した可能性があるなどの事故調査結果を公表した。海自は事故後、同系統の機体の飛行訓練を中止していたが、今年2月末までに全面再開した。引き揚げに向け、米軍と1千万ドルで契約していた。