取材に応じる旧統一教会2世の野浪行彦さん=11日、東京都杉並区

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者を両親に持つ30代男性が、教団側から与えられた本名で生きるのは苦痛だとして、東京都杉並区に対し、住民票などとひも付く読み仮名の通称への変更を申請したものの、認められなかったことが12日分かった。10日付。今回のような申請手続きは法律で定められておらず、区は一般論として「現状では対応できない」としている。

 男性は野浪行彦さん=通称=で、教団が相手を選ぶ合同結婚式で結婚した両親から生まれた「祝福2世」。名は教団側から与えられ、氏も教団との関連性が強く、本名の使用は精神的苦痛が大きいと訴えている。本名の漢字について、通称への変更を東京家裁に申し立てたが却下され、即時抗告している。

 申請の背景には、5月に改正戸籍法が施行される事情もあった。施行後は、漢字表記だけの戸籍の氏名に読み仮名を記載、市区町村は住民に読み仮名を通知するなどして登録作業を進める。総務省によると、住民票などとひも付く情報として市区町村が把握する読み仮名が通知。誤りがあれば変更を届け出できる。