「卒業式をもう一度開こう」プロジェクトのオンライン会議に参加したタレントの中川翔子さん=2日(石井しこうさん提供)
 中学生の時に不登校になった三重県の男性の卒業アルバム。寄せ書きのページには何も書かれていなかった(男性提供)

 卒業シーズンの3月、不登校経験者の中にはつらい過去がよみがえる人がいる。楽しい思い出に塗り替えようとプロジェクトが立ち上がった。23日の“卒業式”本番に向け、16都府県の約30人が取り組んでいる。

 中学生の時に自宅にこもったという三重県の男性は、結婚して2023年に長男が誕生した。「『お父さんはどんな中学生だったの?』と聞かれても、うまく答える自信がない」と参加を決めた。

 所属したバレーボール部の教員が厳しかった。高校進学に必要な出席日数を確保しようと、中3から保健室登校をした。卒業アルバムの寄せ書きのページは真っ白で、出席したはずの卒業式の記憶は抜け落ちている。

 今回、「息子が学校を嫌になっても寄り添えるように、自分の経験を整理したい」と意気込む。

 不登校の小中学生は増加を続け、23年度は34万人超。この3月も卒業式に出席しない子どもが大勢いるとみられる。

 プロジェクトの締めくくりの卒業式は都内で23日に開催。主催者の一人で不登校経験があるタレントの中川翔子さんが、参加者に卒業証書を手渡す。