1966年の静岡県一家4人殺害事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の身体拘束への刑事補償金請求を巡り、再審判決の矛盾を主張していた静岡地検が「請求人に対する1日当たりの補償金額が下がるものではない」と静岡地裁に意見したことが11日、関係者への取材で分かった。補償金額の算出に影響はないとして、矛盾箇所は指摘しないとの姿勢。
袴田さんの成年後見人の弁護士が今年1月、国に補償金約2億1700万円を求め地裁に請求書を提出した。袴田さん側は証拠の捏造認定をした再審判決を考慮し、補償金額を算出するよう地裁に求めていた。
それに対し地検は「判決には客観的に明らかな時系列や証拠関係とは明白に矛盾する内容も含まれている」と言及し、地裁は「矛盾する内容」について具体的に明らかにするよう地検に求めていた。
関係者によると、地検は「1日当たりの補償金額として上限を下回る金額を想定していない」と主張。再審判決の誤った箇所を具体的に説明する必要がないとした。
刑事補償法は、無罪が確定した場合、国が1日当たり最大1万2500円を交付すると規定。